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香港・メインチャイナとの送入金

 香港とメインチャイナ企業の関係性

 最近、企業の審査担当者からの中国メインチャイナ及び香港に関連した問い合わせが増加している。従来から多かったのは、海外送金、入金の窓口となっている香港のペーパーカンパニーと、実際ビジネスを行っているメインチャイナの法人に関連するものであった。

 具体的には、メインチャイナの会社との間で仕入れ取引があるが、請求書の振込先が香港の会社になっている。これ如何に?というケースや、その香港法人がどこの馬の骨かも分からないので、調査して欲しいというものである。

 この確認は意外に容易で、香港企業に対する信用調査を行う事で解決できる。お決まりのパターンとしては、当該香港企業の住所には登記代行会社が所在しており、守秘義務を理由に一切の情報開示を拒否するというものである。他方、香港では会社法の中で株主の公開が求められており、それを追いかける事により、誰がその香港のペーパーカンパニーの受益者なのかが分かる。多くのパターンは、メインチャイナにある製造業者がそこに名を連ねている形だ。後は、名前が出てきたメインチャイナ企業について調べさえすれば、(正しい資料かどうかは別として)財務諸表まで閲覧できるため、大方信用程度の判断はつく。

 なお、中国企業の決算書は、日本でいうところの官報公告程度のものしか取得できなくなっている。日本のクレジットマネージャーを悩ませる状況となっているが、これを打破し、詳細決算書の提供を開始した信用調査会社がある。詳しくは、お問合せ頂きたい。

 ところが

 最近増加している問い合わせは、上で説明したような関係性に起因するものではなく、実際の銀行送金に絡む問題である。一つは、海外に対するXXXXドル以上の送金は、一切受け付けない事になったとして、メインチャイナの販売先からの代金が支払われない事。他には、メインチャイナのサプライヤーに対して、指定された香港の口座に代金の支払いを行ったが、銀行口座が閉鎖されたとして返金されてきた事などが具体例として挙げられる。いずれもPBOCからの指導によるものとされる。

 色々と示唆する情報

 実は不可解な事に、冒頭紹介したような香港のペーパーカンパニーが、最近になって多く閉鎖されている状況があり、信用調査の依頼を頂いた際に、登記上のステータスが「Inactive」になっている状況がある。

 時を同じく、PBOCのガイドラインに基づき、対外的に中国企業の情報を公開する事に対しての規制が働きつつあり(条文は個人信用情報機関向けで、働きつつありとした)、現にPBOCの管轄である企業信用調査業の中では、その許認可がはく奪された会社も出てきている。これが、中国企業の財務諸表が、官報公告レベルのものしか出てこなくなった背景にあるのだが、さらに不可解な事に、香港にほど近い深圳の企業については、その数値情報がすべて’0’に置き換わるとう事案が発生している。

 制裁回避の目論見か?

 米国が香港に対する規制を強化しつつあるのは周知の事であるが、上の断片的な事象を俯瞰して考えると、私には中国当局が海外送金・入金としての香港の機能を諦め、その代替を深圳に見出しているような動きとして見受けられる。もちろん、そうした動きがあれば、国際社会は制裁の対象を香港から深圳に切り替えるだけに思われるが、少なくともその意思決定がされるまでの感、中国当局はメリットを享受する事ができる。

 要追加報告

 ただそれは、中村格付研究所の創造妄想憶測に過ぎず、現在中国・香港在住の有識者達に取材を進めている。残念ながら、メインチャイナの有識者達は、いずれも送金・入金が止まっているという事実も否定しているし、深圳企業の情報開示が不透明になっている現状も「知らぬ・存ぜぬ」で口を閉ざしている。香港からもいまだ有力な情報は得られていないが、追加報告に期待して頂きたい。

 まず当面においては、送金できない、入金されないという事が現実として起こっている事を認知して頂き、必ずしも自分たちの会社だけに限られた事ではない事を知ってほしい。予備知識としてそのあるなしでは、落ち着いた対応ができるかどうかにも、大きくかかわってくるように思えるからだ。

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