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倒産件数過去最多と、2番目に少ない

倒産ニュースを申し上げます

興味深いニュースが飛び込んできた。私の故郷である秋田県での令和4年における企業倒産件数が、平成17年以降過去2番目に少ない38件に落ち着いたそうだ。負債総額も39.5億円にとどまり、令和3年との比較で5.84億円減少したとのこと。何かと暗いニュースが多い秋田県、特に経済動向については先行きの重苦しさが多く報道される中において、久しぶりに浮揚感を覚えるニュースだ。(もちろん倒産による関係者の苦労は大変な事と思う)

同じタイミングで、是非観光に訪れてみたいと思っている五島列島を有する長崎県の倒産が、過去5年間で最多となり、件数にして52件、負債総額は89.65億円に及んだそうだ。

秋田県と長崎県

いずれのオンライン記事も、帝国データバンク、東京商工リサーチの集計結果は報告しているが、その詳細な原因については言及がなく、「新型コロナの経済対策がうまくいった!」、「仕入価格上昇分の販売価格転嫁が難しいんだ!」となんとも平べったい。もちろん、大手信用調査会社である2社も元メディアをみれば、さらに詳細な分析がされていることも思うが、私の興味は単純に両県を比較してみたいなぁというところに落ち着いた。

残念ながら、自分のふるさとである秋田県については色々と語れるところもあるが、長崎県については美しい海を強みにした観光業や、美味しい海産物などしか頭に浮かばなかった。慌てて調べてみたところ、なんとリンガーハットは長崎が本社だそうだ。

他方秋田県は、伝統的に米、酒、秋田杉をはじめとした木材などが有名で、最近では風力発電などのエネルギー事業も注目されいている。秋田銀行の報告には、電気機械がリーディング産業であるとされているが、これはTDKの事であろうか。

SOMPO Parkというサイトに、総務省・経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査」のデータが表示できる面白い機能があり、実際のデータを見比べてみた。

やはり秋田県は、長崎県に比較して農業、林業が占める比率が高く、対して長崎県は漁業の占める比率が秋田県よりも圧倒的に大きい。対して、製造業や建設業の割合は低く、一次産業が中心であるイメージが強い秋田県の方が、多くの富を製造、建設で産み出している。

そのような視点で何が倒産の最少(2番目だけど)と最多につながっていったのか読み解いていくと、宿泊、飲食、娯楽業に目が行く。20年ほど前、全国のパチンコホールが倒産のラッシュにあった時、秋田県だけが全国で唯一、パチンコホールの件数が増えたというニュースを見たとき、なんだか残念な気持ちになった覚えがあるが、長崎県の産業別売上高のうち、生活関連サービス・娯楽業の占める比率が秋田県よりも2.9ポイント高い。また宿泊・飲食業も0.76ポイント大きい。

まとめ

そこから感じるのは、やはり製造や建設といったハードな業界は、コロナの直接的な影響は抑えられ、消費者に直結する飲食、宿泊、娯楽といった産業は、その影響が色濃く表れたということではないだろうか。それらの産業比率が比較的小さかった秋田県が最少(2番目)の倒産件数となり、比較的大きかった長崎県が過去最多(5年間だけど)となったように見受けられる。

こうした結果をみると、個人的に「なんで飲食店だけ!」とか、「旅行する人だけ得して不公平だ!」と思っていた各種助成金やGOTOキャンペーンは、あながち誤った施策ではないのかも知れないなぁと感じている。

出典

 秋田県倒産:https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20230116/6010016523.html

 長崎県倒産:https://news.yahoo.co.jp/articles/fd789ce2e32ea8ae8696444c1cb5a251ffbe8626

 日銀秋田支店:https://www3.boj.or.jp/akita/akitajyouhou/index.html

 SOMPO Park長崎県:https://park.sjnk.co.jp/open_data_tank/e_census/ece-0042.html

 SOMPO Park秋田県: https://park.sjnk.co.jp/open_data_tank/e_census/ece-0005.html

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